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まとめ『膝蓋骨、膝関節脱臼の違い⑤』


今回は以前紹介した『膝蓋骨脱臼と膝関節脱臼の違い』をまとめたものです。

 

まず、膝蓋骨脱臼についてです。

 

膝蓋骨とは、いわゆるお皿・膝小僧のことで、大腿四頭筋(太ももの前の筋肉)の中に発生した人体最大の種子骨です。

この膝蓋骨が活動範囲外の場所に外れてしまうことを膝蓋骨脱臼といいます。

膝の構造の特徴として外側に外れやすくなっています。また、外れきってはいないがずれているものを膝蓋骨亜脱臼といいます。

 

 

《原因は?》

 

ジャンプの着地の際の大腿四頭筋の強い収縮時や、膝関節に外転(外側にくの字になるような動作)や下腿(膝より下側の足)に外旋(外回りに捻る)の力が急激に加わった時などに発生するのですが、元々脱臼しやすい構造、例えば膝蓋骨がはまる大腿骨(太ももの骨)にある溝が浅かったり、膝蓋骨のそもそもの形成不全・形態異常、大腿骨遠位端の形態異常など、先天的な素因を持っていることが多いです。

 

また、初回の脱臼は10代女性に多く発生しやすいです。

 

 

《症状は?》

 

軽く曲がった状態のまま動かせず歩くことができなくなります。ですが、この脱臼は自然整復(この場合、膝を伸ばすと元の位置に勝手に戻る(整復される))されていることが多く、固有症状が乏しいため周囲の軟部組織損傷との鑑別が必要になります。

 

また、整復されているものは、内側の痛みと膝蓋骨の不安定感を訴えたり、膝蓋骨を外側に押すと外れそうな不安感(アプリヘンションサイン)を訴えます。

 

外観は腫れて、お皿が外側に外れているのがわかります。

 

 

《分類》

 

①外傷性脱臼…外傷(ぶつけた捻った等)により起こったもの。

 

②反復性脱臼…外傷により起こった後、繰り返し再発してしまうもの。

 

③習慣性脱臼…外傷等の既往歴が無く、ある一定の肢位(体制)になると常に脱臼するもの。

 

④恒久性脱臼…膝の肢位に関係なく、常に脱臼しているもの。先天性のものと後天性のものがある。

 

 

《治療法は?》

 

膝を軽く曲げた状態で固定して34週間安静。固定をはずした後は大腿四頭筋(特に内側広筋)のトレーニングをして、内側からの引っ張り力を鍛えます。

 

 

 

続いて膝関節脱臼についてです。

 

膝関節は前方・後方・内側・外側に強靭な靭帯が存在し、膝関節の保護をして動揺を支えているため、滅多なことでは脱臼が起こるということはありません。

ですが、交通事故のような強大な外力を受けると発生してしまいます。そのため、膝関節周囲の軟部組織の損傷、神経や血管の損傷など、非常に重い合併症も発生します。

 

4つの分類に分けられ、それぞれで発生機序(発生原因)や症状が異なります。

 

 

《分類》

 

①前方脱臼…大腿骨(太ももの骨)に対して、脛骨(膝下の弁慶の泣き所のある太い骨)が前方に位置しているもの。

 

②後方脱臼…大腿骨に対して脛骨が後方に位置しているもの。

 

③側方脱臼…大腿骨に対して脛骨が内側に位置しているものを内側脱臼、外側に位置するものを外側脱臼としています。

 

④回旋脱臼…大腿骨と脛骨が互いに逆方向に回旋(ひねる)することにより脛骨が外向き、内向きになっているもの。

 

 

それでは1つ1つの説明をしていきます。

 

 

①前方脱臼について

 

《原因は?》

 

直達外力…脛骨の上方に後方から、または大腿骨下方に前方から強大な外力を受けて発生。

 

介達外力…膝関節に過度伸展(イメージとしては逆くの字)により発生。

 

 

《症状は?》

 

膝関節部の前後径の増大、膝伸展位(伸びた状態)で短縮、前方に脛骨の関節部分、後方に大腿骨内・外顆(膝上両側の骨の隆起)が突出、と変形がはっきりとわかります。

周囲の皮膚は蒼白になり、完全脱臼では関節運動(曲げ伸ばし)が不能になります。

 

不全脱臼…大腿骨顆部が脛骨関節面の後方と触れた状態。

 

完全脱臼…大腿骨顆部の前面に脛骨上縁が接する。

 

 

《合併症は?》

 

※内・外側側副靭帯、前後十字靭帯の断裂。

 

※膝窩動脈(膝裏の重要な血管)、総腓骨神経および脛骨神経の圧迫、もしくは断裂。

 

 

《治療法は?》

 

3~4週は軽く曲げた状態で副子固定(硬性材料で固定)

その後は再受傷しないような装具と共に電気療法、運動療法を行っていく。

 

 

 

②後方脱臼について

 

《原因は?》

 

直達外力…膝関節屈曲位(曲げた状態)で脛骨(膝下の太い方の骨)の膝近くを前方から強大な外力が後方に向かって作用することによって発生します。

もしくは大腿骨の膝近くを後方から前方に向かって圧迫されるような時にも発生します。

 

 

介達外力…膝関節屈曲位のまま足をついて急停止するような形になった際、勢いがそのままだと、膝より上(大腿骨)が脛骨より前に押し出されるような形になり、それによっても発生します。

 

 

《症状は?》

 

膝関節が過伸展位(伸びきった状態から更に反る、逆くの字)の状態となり、大腿骨遠位端(大腿骨の膝上の部分)が前方に、脛骨近位端(脛骨の膝下の部分)が後方に膨隆します。

そのため、膝窩動脈(膝裏の重要な血管)が傷ついてしまう恐れがあります。

 

 

不全脱臼…大腿骨関節面(大腿骨の膝関節を構成している面)の後ろ部分が脛骨関節面(脛骨の膝関節を構成している面)の前方部分に触れています。

 

完全脱臼…大腿骨関節面の後面が、脛骨の近位端部の前面にまで乗り上げています。

 

 

《合併症は?》

 

前方脱臼と同じく、前後十字靭帯・内外側側副靭帯の損傷、膝窩動脈・総腓骨神経・脛骨神経の損傷を伴う場合があります。

 

 

《治療法は?》

 

こちらも前方脱臼と同じく3~4週は軽く曲げた状態で固定。

頃合いを見計らって、再受傷しないように装具と共に電気療法、運動療法を行っていきます。

 

 

 

③側方脱臼について

 

《原因は?》

 

直達外力…発生は稀。外側から外力を受けても反対側にもう一方の足があるため壁になり、内側から強大な外力を受けることはまずないため。

 

介達外力…膝関節が側方に屈曲を強制されて発生します。

 

 

《症状は?》

 

・膝関節部分の横幅が大きくなります。

 

・外側脱臼だと下腿(膝下から足先まで)が外旋(外方向に捻られる)、内側脱臼だと下腿が内(内方向に捻られる)します。

 

・膝蓋骨(いわゆるお皿)は脛骨の動きについていく形になります。

 

 

《合併症は?》

 

靭帯の損傷等。

 

 

《治療法は?》

 

前方後方脱臼と同じような経過をたどります。

 

 

 

④回旋脱臼について

 

《原因は?》

 

膝関節が大腿骨と脛骨で互いが逆方向に捻られるような形で発生する極めて稀な脱臼です。

 

 

《症状は?》

 

下腿が逆を向いているような状態です。

 

 

《合併症は?》

 

十字靭帯、側副靭帯の損傷のほか、半月板(いわゆる軟骨)や関節包(関節を包む膜)の損傷など。

 

 

《治療法は?》

 

他の脱臼と同じように行っていきます。

 

 

 

《まとめ》

 

膝蓋骨脱臼はお皿が外れて、それがどういった状況で起こるかの分類があり、膝関節脱臼は膝関節を構成している上下の骨の位置関係(外れた方向、位置、向き)による分類がされています。

 

ご清聴ありがとうございました。

有限会社 とわ
関城接骨院 町田院

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